牽引免許(平成16年取得、千葉県内の教習所)
憧れの難関免許大型二種が一部の県の教習所では、出張検定という変則的な一発試験で比較的容易に取れるということを知ってから教習制度に興味が沸き、普通二輪を取る際についでにあちこちからパンフレットを取り寄せた。普通免許料金なんかも県により料金がまちまちであったり、設備の違いなど見ていて面白かった。
それ以降もコンビニにある合宿免許のパンフを用もないのにちょこちょこ貰って見てた。地元鳥取の教習所が紹介されていたり、自分が卒業した教習所も載っていた。関東から鳥取に教習行くのにヒコーキ代が出る所もあり何だか納得いかなかったが。
最近の制度改正により、大型二種も公認教習所で取れるようになり、コンビニによっては二種コースもパンフにも掲載されるようになってきた。大型二種合宿教習は30万前後、パンフをめくる度に、行きたいけど高いな〜とため息をついていた。
運送屋に勤める。
大型免許を取得した以降は、車とは関係ない仕事をしていたがこの年の前年、運送会社に勤め始めた。運行中、また普段車で走っている時、他の車の動きにも目を配る様にしているのだが、トレーラーが長い海コンを引きながら交差点を曲がる様子にはいつも驚かされ、又、道路をふさいで鉄工所等にトレーラーのヘッドをぐりぐり曲げながらバックで入っていく様子を感心して見ていた。
いつものようにコンビニに寄り、何気なくパンフを手に取り運転席でめくっていると、最近教習所行ってないな・・・という気持ちと、乗っても良いという免許より乗っては駄目って項目を減らす為、新しい免許が欲しくなってきた。
この頃は休みも金銭的にも余裕があり又、どうせこの先二種は取れないだろうから多少張り込んでもよいかなという気持ちもあった。よし、けん引免許を取りに行くか!
今までパンフを見てきた経験から、一般的に合宿免許取次ぎ会社を通したほうが予約を一括で取ってくれると思われ、通学とそんなに変わらない料金で検定料とメシ代がコミコミだったりもする。
近所の教習所に合宿で申し込む、とか、鳥取に合宿に行き実家の車で寮生(女性に限る)と遊びに行く・・等色々考えたのだが、合宿はどうやら私にはさほど有利に働かない模様。どうやら通うしか無い様。
自分の住む船橋市周辺で、大型、けん引教習を実施している所は少ないが。
合宿パンフには通学プランもあり、前述の様に一括予約の特典がありそうなので隣市の教習所を取次会社に問い合わせる。丁寧なメールでの回答を頂いたのだが、一括予約は出来ない模様。自分で入れてくれって・・・
それじゃ、自分で学校に申し込むのと変わんない。考えときまっさと返信。
教習所へ。
通学条件に該当する隣の市のK教習所のサイトを開いてみる。そこにけん引の文字は無い・・・?もしや裏教習か。電話より行動あるのみ、バイクでK市へ。若干迷いながらも教習所に到着、受付へ。
受付のお姉さんは、けん引教習の存在についてあっさりと認め、丁寧に案内してくれた。サイトに案内が乗ってない事については、最近教習が始まったので更新していないだけとの事。(しかし未だそのままだが・・)
一週間の連休を取って通うつもりなので、一括予約を取ってもらいたかったのだが、予約のタッチパネル画面を見せられながら、今のところ空いていてどこでも入れる事が出来るので、4時間を上限に自分で取ってくれと言われた。予約が確定しないのは一抹の不安はあったが、申し込むつもりで来ていたので、入校手続きを取る。同時に予約。今は、ネットや携帯で予約が出来るのだから便利になったもんだ。相変わらずキャンセル待ち制度は現代でも存在するようだ。
友達が姉妹校卒業だった為、後日、本人を連れてきて紹介料5000円を頂く。
教習1時間目開始〜!
久々の教習所は、やはり若者が多数派だ。自分を筆頭とする汚いカッコしている大人は大型以上の教習生でしかない。カードを通して棚から原簿を取り、配車機にて配車票をもらう。この行為は久しぶりである。チャイムが鳴るまでコーヒーを飲んで、はやる気持ちを落ち着かせる。
チャイムが鳴り、若者たちがばらばらと動き出す。皆発着点にかためて置いてある普通車の前で教官を待つ。自分の乗る牽引車は・・と、コースの端っこの方に止めてある。一台しかないので迷わなくてよいのだが若干歩く。2台ある大型車の前では、教官が原簿を開き教程を確認している。牽引車の前にも教官は待っていてくれた。よろしくお願いしますと挨拶し、まずは助手席へ。
まずは外周を。
トレーラーのヘッド部分(トラクター)は、いすずの現行のフォワード。勤め先にも同じキャブの4トンがある。
後ろに付いてくるトレーラー部分は何も乗っていない。アオリさえない真っ平だ。
教官の運転で外周を2〜3周。停車の後、運転交代。私は汗かきなので、手にも汗をかく。普段運転中はめている手袋を歩きながら装着。
前後を見慣れたドアを開き、よじ登って着座。普段同型の4トン車にも乗っているので違和感は無い。シートをあわせ、ベルト装着、ミラーを確認。周囲を確認、エンジン始動、再確認で指示器。受験運転の常識を忘れてはいないつもりだったのでこの辺りはお茶の子。ものすごくデカクはない車体だが、比較的狭いコース内には普通車がうごめいている。
普通車の邪魔をしないようタイミングを計り発車。ほんの一瞬遅れて後ろが引っ張られる重みがアクセルに伝わってくる。
ミラーでトレーラーのタイヤの挙動を見ながら外周のコーナーを回る。トレーラ後輪が、トラクタ後輪の若干内側をなぞるような感じで普通に付いて来る。普段同じようなのに乗ってるせいか、そんなにムズかしくはない。ただ、脱輪こそしないものの、後ろを気にするあまりセンターラインにきれいに沿わない時もあった。しかしそれは、教官の指導によってすぐに修正させられた。
曲がり角。
2時限目も同じ教官。今度は外周コースより内側に侵入を指示される。3秒30mは基本中のキホン。ミラー確認、3秒前指示器点減、目視の後30mでラインに沿わせヘッドを曲げていく。ミラーではトレーラ部の後輪が難なく付いて来る。何だ、簡単じゃん〜。
狭いコースだけど、対向車線のラインを踏まない事やら、確認の細かい修正をされるくらいで、今のところ教習が滞る理由も無いようだ。基本事項の教習の中にも仕事の話なんかの雑談で和やかに。教官としても、普段乗ってない人を教えるよりは楽なんじゃないかな?
交差点。
翌日、3時間目より交差点に入り右折、左折の練習を行う。合図を出すタイミング、寄せなどは普段の走行でもある程度心がけている為、特に指摘もされない。ただ、左折直前に左後方の目視をするようにと追加された。ここでも後輪をなぞる様子をミラーで見ながら曲がっていく。問題なし。
S字。
続いて教官より校舎の真横にある発着点近辺へ入るように指示される。外周からこの発着点へ至る道が広く無い上に、発着点前後に止まっている教習車もあり、若干はみ出し気味に回るのを余儀なくされる自車は気を使う。その先には発着点と平行して50m程の直線があり、その先の三叉路手前左側のS字の入り口に入るように指示される。
ミラー確認後、目視左寄せ、直線が短いので法定の手前30メートルに満たないが致し方無い。左後方目視後、左ミラーを見ながらハンドルを左に切り込むタイミングを計っているのだが、全体が長いためトレーラ部の後輪がまだ角に差し掛からない。今ハンドルを切ったら脱輪だ。こんなので曲がれるのかよ!トラクタが入り口を半分以上行き過ぎた位の所で最後輪が角を離れそうになった所で教官が、はい、ここで切って!懸命に回す回す、ミラーの中で二つの車体の接合部からぐぐっと屈折し、最後輪が付いてきた。爽快だ。
全く見えない為一番気になったお尻の下の右前輪は、縁石ぎりぎりの所で通過したらしい。左後輪はまだ角だ、ここでまた教官、ハンドルを戻して!一周ほど戻すと、もっと!と言われる。どうやら左に一杯に切ったまま入っていくと、最後輪が先ほど通過した角に、接輪の危機が再び訪れるのだ。全体がS字の中に収まっても、油断出来ない。
S字カーブの弧の外側を沿うようにハンドルで持っていく。左右のミラーではトレーラはやや遅れた挙動で付いてくる。出口に近づけば確認、ウインカーも出さなければならないのでせわしない。
後退、方向変換!
次の時限、チャイムの後、教官がいつもの様に教習原簿を確認。この時間は牽引免許最大のヤマ場!難関かつ醍醐味を感じることの出来る方向変換即ち後退、を教えていただけるらしい。まずは直進状態での後退を練習。トラクタが曲がっていった方向に若干ハンドルを切る、トレーラ部が挙動を見せたらハンドルをすばやく元の位置に戻す。
始めの内は慣れない為、何度も教官に遅いっと指摘されるが何とかものにする。
次は右方後退、教官がハンドルを握る。自分は車を降りて車外から全体像を一度見せられる。
運転交代、自分がハンドルを握る。
まず、後退する場所(ここでは”車庫”と書きます)を通過する際に確認。縁石から30cmほど離した所で停車、後方確認の後後退開始、コースの縁石の角から節目3個目辺りで据え切りにならないように下がりながらハンドルを左に一周させ、それを保持する。
トレーラは逆方向に下がるきっかけを得て角度がつく、窓から顔を出してトレーラの駐車用の足に張ってあるテープが見えたら右に一周、ハンドルは正位置にもどり、トレーラはさらに角度をつけて車庫に下がっていく。
もう一度トレーラの足を見るよう指示される、左右をつなぐロッドのような部分にまたテープが貼ってあり、これが見えたら右に一周半素早くまわす様に指示される、左手でハンドルの12時の位置をもち、安易にずれない様に保持する、テープも同じ位置に見えるようにハンドルを調節しながら角度を維持。維持といっても普通車のハンドルの感覚で、若干戻したりするとかえって角度が増してしまう。慣れないのでいちいち考えて回さなければならない。
下がっていくうち、トレーラの最後部がコースに立ててあるポールの何本目かに差し掛かった所でハンドルを右にいっぱいに切る。これで頭のトラクタがぐぐぐと首を振り、トレーラとトラクタがほぼ一直線になった所でハンドルを一気に正位置に戻す。
あとは直線バックでおおよその所まで下げれば後退完了。この通りにやれば確かに綺麗に車庫入れが出来る。左→右右右と覚える事にする。
教官の指示と共にハンドルを回すのであれば、それなりにうまくいくのだが、数回こなすうちにたまに油断して基本より少しづつずれてしまう。少しタイミングが狂うと成功パターンからずれてしまって未熟者にはそこから修正すら利かなくなりジャックナイフとなり後退不能となる。
教官からミニカー(教習車に積んである)を使って構造を丁寧に説明されたり、ハンドルの回し方が遅いっ!なんて指摘された。
右方後退が有る程度出来るようになったら、次は左方後退。
今度は運転席側の窓からトレーラの動きが確認出来ない。しかし、さすが教習車。箱トラックとは違い、運転席の後ろのガラスから後方がばっちり見える。
先ほどと同じように、車庫を通過する際に確認。縁石から平行に30cmほど離した所で停車、後方確認の後、後退開始、今度は右→左左左だ。左後方の角にトレーラの真ん中辺にある鉄板の継ぎ目が角に差し掛かった所でハンドルを右に一周。トレーラに角度が付いたところで、右のミラーにトレーラの前方右角にあるマーカーランプが見えたらハンドルを左に一周して正位置に戻す。トレーラは更に角度が付いて車庫に入っていく。座席後ろの窓から、トレーラ左側の中心部分辺りに有るウインカーが見えたらハンドルを左に1周半。ウインカーが同じ位置に見える様角度を維持。後ろ窓から見て車庫の奥の左角から数本目のポールにトレーラの左角がかかったらハンドルを左にいっぱいに切る。これでトラクタが曲がり車体がまっすぐに戻る。左右のミラーでおおよそ車体が一直線になる直前ハンドルを一気に正位置に戻す。
ふぅ、字ばっかりで分かりにくいだろう。申し訳ない。
コースがもっと広ければトラクタの向きを戻すのが早くても良く、有る程度いい加減でも入りそうなものだが、法定コースが狭いので成功のライン取りが限られてくる。教習所は法定走行と課題が出来れば卒業できるので、位置を見出す為にテープを貼ったりしてあるが、実際の車にはテープなど無いのだから後は現場で慣れてくれという事なのだろう。普通車教程の縦列駐車攻略に似ているのか。
何度かこなす内、失敗パターンから成功に繋げる戻し方なども練習させてもらえた。
予約が危ぶまれたが、卒研へ〜
入学時に、受付のお姉さんから、自分でその度予約を取って下さい、空いてますので・・・と言われていたのだが、牽引車は一台しかなく、もう一人牽引教習生がいた為1時間しか乗れず、キャンセル待ちで2時間目を埋めた日も有った。また、ラスト4時間を残して予約コンピュータ上での予約枠が普通車で埋まってしまっていて最短日卒業を危ぶまれたが、お姉さんに相談すると余計に取ってある普通車予約枠を割り当ててくれた。ホントここの受付のお姉さんは親切だった。
普段4屯車に乗っている事もあってか、特に問題も無くて教官と雑談を交えつつ順調に教程をクリア。卒検への練習を日々こなし、卒検へのみきわめを頂く。!
卒検は教習料金とはまた別に検定料金がかかる。5千円位か?試験10分位なのに高いな〜。しかし検定料を入金するのは券売機の様な機械、領収書を伴って改めて受付で卒検申請。
卒検当日、朝のはようから教室に集められる。自分以外は普免の若者。全員で10人くらいか。注意事項、検定中止事項などを聞かされる。若者達が普通車へ分乗し、路上へ出てから牽引車が発着点へやってくる。
前後を確認し、乗車。ベルトをしミラー確認。きちんと安全確認をして発車。外周から交差点を経て方向変換、一発でキマる。数回の左折にもキチンと左後方も目視。発着点横のS字もクリア。障害物をかわして発着点へ戻ってくる。
停車の措置を講じても無言の検定員に、何か忘れているような気がして、思わず”終了しました”と聞くと、最後までやってくださいと言われる。もう一度駐車措置忘れは無いか確認の後、後方確認して下車。終了!
結果はすぐには教えられず、後ほど発表される模様。説明を受けた教室に再び集められ教官により合否が告げられる。
結果は全員合格!落ちるとは思わなかったがとりあえずほっとする。全ての合格者は午後からの卒業式に出なければならないらしい。普免の若者と同じ内容を聞かされるのか〜忙しいんだよな・・・と思いつつも昼飯をはさんでしぶしぶ出席。
卒業式
午前中と同じ教官が壇上に立ち、各教習生に自動車学校卒業証明書を配り、記載に誤りが無いか各自確認。
私に証明書を手渡す際、教官より”高得点で合格でした!牽引二種も取ればいいよ”と笑顔でコメントされる。牽引二種・・そんな免許もあったっけ・・法規走行と後退が出来る内に行ってみてもいいかなとこの時ちょっぴり思った。
壇上で皆の前で告げられたのでなんだか恥ずかしかったが、そんなに成績が良かった事が嬉しかった。
その後、自動車学校校長の挨拶。これから一人立ちする普免取得者へ向けてのオコトバにめんどくせーなとも思っていたのだが、初心に帰って真面目に聞く事にする。校長の話はお決まりの様に無事故を願う内容であったが、話の最後に安全運転を心がける宣誓書の記入をする様に用紙を渡され、気持ちも新たに安全運転を誓う。それが終わると、SDカードの申込書を配られた。無事故無違反の年数が一目で分かるSDカードを初心ドライバーになるであろう卒業生に配って安全運転を励行するのが目的の様だ。学校が費用をみてくれる様だったが金の無駄だよこんなの、と申し込まない事に。勤め先で発行してもらったばかりなのでと言い丁重にお断りする。わずかふた月前に貰っていたからね。
自分も過去にこんな感じで卒業して、何とか大きな事故は起こさず今に至るが、ここにいる卒業生にはこの先どんな車生活が待っているのだろうか・・くれぐれも人はねるなよ〜と願わずにはいられなかった。
後日、幕張にある免許センターへ書類を持って申請へ。
しかし、当日、申請だけでは終わらなかった・・・
つづく。