国際VHFとは156.025MHz〜162.025MHzに世界共通で割り当てられている船舶無線で、大型の貨物船、客船には国際VHF無線機の設置が義務付けられています。

国際VHF無線は国内外からの船が港を航行するとき、海岸管制局への連絡、タグボートや水先案内人との連絡、周囲の船舶の挙動を確認するのに使われ、日本の船とは日本語で通話しますが、外国船には英語で通話されます。

国際VHF無線は用途別に55チャンネルに分けられ、航行中はメインチャンネルと呼ばれる16チャンネル(156.80MHz)を受信状態にしてあります。
ここは海岸局からの気象情報や航行警報、入り出船情報、船舶同士の通話が聞こえてきます。



海岸局 (こちらは東京マ−チス、NN航路XXを航行する貨物船そのまま進むと座礁の危険があります、進路を変更してください、以上東京マーチス)
例2
海岸局 (こちらは東京マーチス、気象庁よりXX時に波浪警報が出されました。付近を航行する船舶は注意してください。以上東京マーチス)

マーチスとは船舶の動静把握、情報提供を行う管制塔の役割をする海上交通センターです。コンピューター無線、レーダー、GPS等をフル活用して行きかう船の流れを管理しています。

例3
船1 (本船の前を航行するタンカーAA丸、こちらは貴船の後ろを行くXX丸応答ありますか?)
船2 (はい、AA丸です)
船1 (6チャンネルへお願いします)
船2 (はい6チャンネル)


メインチャンネルの16チャンネルはいわば皆の集合場所です。

ここで特定の相手を呼び出し、必要な通話は別のチャンネルで行わなければなりません。船1の指定した6チャンネル(156.30MHz)へいってみましょう。
例4
船1 (AA丸、こちらはXX丸、本船この先HH度で南下の予定なのですが、貴船はどちらに向かわれますか)
船2 (はい、本船はこの先KK方向に向かいますので、本船の右舷側からお先にどうぞ)
船1 (ありがとうございます、16チャンネル戻します)

船2 (はい、16バックします)

自動車の様に車線も方向指示器もなく、出会い頭に手で合図するわけにもいかない船ではこのように無線で互いの動きを知りゆずりあいの光景もあったりします。

また、海上保安庁などから海難情報がもたらされることもあり、緊迫した場面に遭遇する事があったり、外国からの大型貨物船からなまりのある英語通話に、ビルの様に大きな船のブリッジにいる面々を想像するのも楽しいものです。
自衛艦もこの無線機を搭載しており、鉄(くろがね)の浮かべる城から発せられる日本語になぜか人間味を感じ和んでしまう事も。


国際VHFは、1〜2万円くらいで売られている無線機で受信できます。

海岸でも受信できますが、船の上からの受信は更におもしろいものです。自分の乗っている客船からの通話も珍しくはなく、遠くの船の動向も手にとるように分かります。

また、羽田沖に差し掛かると周波数を航空無線に!羽田より飛び立つ飛行機から交信がコックピットから!!洋上では湾岸域のラジオ、テレビの音声も受信できます。ぜひ船旅には無線機を・・・?

国際VHFの説明のはずだったのですが・・・



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国際VHF